第12章 Hospitalization
結局、マイキー達は全員面会時間が終わるギリギリまで部屋にいてくれた
色々と聞きたいことはあったが、とりあえず今日は休めとみんなが口を揃えて言うので今日はただただみんなと話して終わった
夕日が部屋の中に差し込み、眠る伊織の顔に照りつける
「っと、」
シャッ
俺は手を伸ばして窓のカーテンを閉める
まだ上手く動けなくて全部は閉まらなかったが、伊織の顔は影になった
『…』
「…」
アイツらが帰ってから、やけに部屋が静かだ
…口を少し開けて無防備に眠る伊織
その姿はまるで2年前と変わらない
東卍の脳やらマイキーの女やら言われたって、伊織は伊織だ
あの頃となんら変わらない
「…」
伊織の背中を貫いた感覚
ずっと手に、頭に残ってる
覚悟を決めて思いきりナイフを振り上げた
振り下ろすとそこには自分の腹ではなく小さな背中があった
勢いが止まらないナイフはそのままソイツの背中に当たり、少しの遊びがあった後、ぷつりと音を立てて肌を貫いた
それと同時にソイツの体が俺の体にぶつかったぬくもりを感じた
…そして、俺の体が壁になって逃げ場を失ったソイツの体には深くナイフの刃が突き刺さった
ナイフを深く刺しこんだあの感覚
まるでピンと張った糸の束を切るような感覚
きっと俺だけしか聞こえなかっただろう、刺さりきった瞬間に伊織の口から漏れた苦痛の声
俺の体を濡らす伊織が吐いた血の暖かさ
目を閉じると、全てが鮮明に浮かび上がってきて吐きそうになる