第12章 Hospitalization
『…万次郎、』
「ん、」
『あの、さ、、、あれから、どうなったの…?』
「…」
『私、覚えてなくて…』
「…」
『万次郎?』
万次郎の方を見つめると、少しだけ困ったような優しい瞳と目があった
「…今は難しいこと考えないで、自分の身体のことだけ考えてて。」
『でも…』
「…伊織、眠いんでしょう?
手があったかい。」
『…眠い、のかな…?』
そういえば、万次郎と手を繋いでから頭がふわふわしてる気がする
「伊織…
大丈夫だから……ちょっとごめん」
『ん、』
万次郎は繋いでいた左手はそのままに、右手を私の背中に回すと優しく私を抱き寄せた
万次郎に体を預けると、ベットに座った万次郎の胸元に頭がきて耳にゆっくりな鼓動が響く
『…万次郎?』
「…昔、兄貴がこうやしてたらお前すぐ寝てたろ?」
『私もう子供じゃないよ』
「偶にはいいじゃん」
大きな胸板
暖かい体温に包まれて、心地よい鼓動が聞こえて自然と瞼が下がってくる
…まだ寝たくないのに…
『…まんじろ、眠たくなっちゃう』
「寝かせてるもん。
そのまま…」
傷に触れないように万次郎は私の背中を支え、そのまま少しだけ体を揺らす
万次郎の髪がサラリと落ちて私の髪と混ざる
なんとか睡魔を追い出そうと目を開けても、どうしてか瞼はいうことを聞かずに落ちてくる
「…おやすみ、伊織…」
最後にその言葉が聞こえたと思うと、私の視界は暗くなった