第12章 Hospitalization
『もう、謝らないでって言ったでしょ?』
「だが…」
『知ってるよ、それくらい。
気胸ってそんなもんだし、そもそも再発と言っても大事になることは少ない。
そんなに大きな問題じゃないわ。』
「…」
『たかちゃんがそれに責任を感じることなんてない。
私は将来医者になるの。それくらい自分で管理できるようになる。
それくらいの医者になってみせる。
だから気にしなくていいの。』
「伊織…」
『大丈夫。
何も問題ない。』
たかちゃんは優しすぎるから
きっと全部自分のせいだと思ってしまう
だから、きっと私がいくら言葉を重ねても、その感情を完璧に消すことはできない
いくら私がたかちゃんに思いを伝えても、彼はきっと自分を責めることを辞めない
優しくて責任感が強くて、頼られることに慣れてしまっている貴方だから、きっと自分を許すことなんて出来ないんだろう
「…ドラケン達、呼んで来るな。
きっと待ってるから、」
『うん…』
たかちゃんはそう言って扉の方へ歩く
やっぱり、私の言葉は本当の意味で彼には届いてないんだろう
曖昧な返事に無理矢理口角を上げると、たかちゃんは更に困ったように笑って私に背を向けた
…その背中は抗争の時私を守ってくれた時のように大きくて安心して身を預けられる背中だったけれど、どこか無理をして大きくみせているような気がしてジクリと胸が痛んだ