第2章 Chance
『…もう大丈夫。』
「本当?」
「俺たちに言いづらいなら三ツ谷か場地あたりでもいい。
なんか有れば誰かにすぐ言えよ。」
『うん。ありがとう、2人とも。』
「いーえ。」
万次郎はニカリと笑って立ち上がる。
「じゃ、今日は伊織送って帰ろっか!」
「あ、伊織、明日の朝どうする?
いつもの時間でいいか?」
『へ?』
「学校。
行くんだろ?」
『そりゃ行く、けど、、、、あ、』
そうだ。
私毎朝けんちゃんに万次郎の家まで送ってもらってたんだ。
『うん、お願い。』
「おう。」
「じゃー俺はウチでエマと待ってる〜!」
「はぁ…ったく、そろそろ自分で来いよ。」
「あー、いいの?ケンチンそんなこと言って。
学校まで俺が自力で行ったら、ケンチンバイクの後ろにエマ乗っけて行けないよ?」
「…なんの話だ。」
「またまたぁ。
わかってるくせに〜!」
「うぜぇぞ、マイキー。」
微笑ましい2人のやりとり。
エマとけんちゃんは所謂両片思い。
気づいてないのは本人たちだけ。
けんちゃんはいつもマイキー起こしに行くだけじゃなくて、その後学校に行くまでの道のりはいつもエマを後ろに乗せてた。
私は万次郎の後ろに乗せてもらって、私としても少し嬉しかったっけ。
『ねぇ』
「ん?」
「どした?」
『…あの、さ。
これから、どこか行く時とか、私にも教えて?
喧嘩とかでも、、、』
確か2人は基本的にしょうもないことは私には言わない。
この時期は私が勉強ばかりしてたから、みんな邪魔しない様に気を遣ってくれてたんだ。
「そりゃ別にいいが、、、勉強したいって前言わなかったか?」
『うん。勉強は大切だけど、、それよりも万次郎達の方が大事。
勉強は勉強でちゃんとするから。
これからは小さなことでも教えてほしいの。』
「もちろん!
伊織が望むならそうする!
伊織だって東卍の一員だもん!!」
『…ありがとう!』
そうして2人に家まで送ってもらうと、私は部屋のベッドに身を投げた。