第12章 Hospitalization
『えっと…たかちゃん?』
「三ツ谷テメェ…」
「マイキー拳しまえ。三ツ谷、落ち着け」
ふわりとたかちゃんのいい匂いが鼻を掠める
私を包む大きな身体はまだ上下しててその表情は見えない
背中をトントンと叩いてみても、たかちゃんは息を整えるだけで何も言わない
何故か立ちあがろうとする万次郎を抑えるけんちゃん
が、そのけんちゃんの腕を振り解いて万次郎がたかちゃんに手を伸ばそうとしたその時、耳元で小さく震える声が聞こえた
「…な、、」
『え?』
「ごめん…ごめんなっ、………伊織…、俺が、、俺が守って、やれなかったから…っ、本当に、ごめん…痛かったよな…」
「三ツ谷…」
『…』
「お前に、怪我させて……傷作らせてっ、、、ごめん………俺は、、、守れなかった…っ!」
今まで大きく上下していた肩が小刻みに震える
万次郎はピタリと手を止めると、けんちゃんに一言声をかけて2人は外に出て行った
病室の中は圭くんの規則的な呼吸音と私とたかちゃんの息遣いだけが響く
「っ、、ズズッ……ハッ…………ズッ」
『…』
たかちゃん、震えてる
『…たかちゃん、大丈夫、大丈夫…
私ちゃんと生きてるよ。
いなくなったりしないから…大丈夫。心配かけてごめんね。』
「…っ、」
『お見舞来てくれてありがとう。
もう大丈夫だから…もう、安心していいから……』
そう言って背中をポンポンと軽く叩く
…あの日、たかちゃんは私を守ろうとしてくれた
ずっとこの3日間、自分を責めていたんだ
そんな必要微塵もないのに
『…たかちゃんのせいじゃないよ。
これは私が自分でやったこと。たかちゃんは私のこと、ちゃんと守ってくれたよ。』
「…」
『たかちゃんがあの時見つけてくれなかったら、私はもっと酷い目に遭ってたかもしれない。
…だから、そんなに自分を責めないで。
守ってくれて、ありがとう。』
「伊織…」
私の名前を一度呼ぶと、たかちゃんは私を抱く力を強めた
私は彼の大きな背中に手を乗せ、上下にゆっくり動かした