第12章 Hospitalization
しばらくして2人が落ち着くと、けんちゃんが口を開いた
「さっき三ツ谷にも連絡した
妹ちゃん達ちょっと預けてから来るってよ」
『無理に来なくてもいいのに…』
「あいつだって心配してたんだ。
俺たちとは違って毎日ずっと着いてやれる訳じゃねぇしな」
『ずっとって、、、2人とも毎日来てくれてたの?』
「当たり前じゃん。
場地と伊織のとこ以外行くとこないし」
万次郎はさも当たり前かのように言う
…確かに、けんちゃんが入院してた時も私も毎日通ったっけな…
「…3日も目ぇ覚まさねえし、本当焦った。
…場地はまだだが、、、」
『…圭くん、お医者さんから命に別状は無いって聞いた。
…だから、早く目が覚めたらいいね…』
「ああ。」
「…千冬も毎日来てんだよ。
アイツ毎日毎日ベッドの横で泣いてるしな。」
千冬くん…
…じゃあベッドサイドの大量のペヤングは千冬くんのお見舞いか
てか怪我人にペヤングって、、、
ガラガラー
「…へ?」
『あ、』
「噂をすれば、だな。」
病室のドアが開いたと思うと、そこにはコンビニの袋をぶら下げた千冬くん
私と目があった瞬間、これでもかと言うほど目を見開いた
「あ…え?、、、伊織、さん?」
『千冬くん、おはよう』
「おはようございます…て、え???」
何度も何度も確認するように私たちの顔を交互に見つめる
…その表情がなんとも面白くて、思わずクスリと笑うと、千冬くんはボロボロと泣きながら私のベッドに駆け寄ってきた
「伊織さん…!!目ぇ覚めたんですね…っ!!よかっ…本当に、、よかったです…!!!」
『ありがとう。心配かけてごめんね。
…千冬くん、私も起きたんだし、きっと圭くんもすぐ起きるわ。
だからもう少しだけ、待ってようね、』
「はい!……っ、はいっ!、、っ!」
そんな様子で鼻を鳴らす千冬くん
私たちはまるで弟を見るかのように温かな視線を千冬くんに注いだ
…圭くん、早く起きないと
千冬くん待ってるよ