第12章 Hospitalization
『あの!圭くん…あ、隣の彼は………!!』
「彼は…手術により命に別状は無いのですがまだ目を覚ましてなくて…」
『…そう、ですか
状態の方は?』
「個人情報になってしまうのであまり詳しくは言えないのですが…
出血が酷かったのと、傷口が開きすぎていていました」
やっぱり…
あの時無理に動いたから筋組織が断裂したんだ
…突っ張っちゃうから、これまでみたいには動けないかもしれない、、、
「では私はこれで。何かあればナースコール押して誰か呼んでください。」
『あ、はい。』
「さっきの2人、お呼びしますか?」
『お願いします』
そう言うと医者はカーテンを開けて出て行った
私は隣で眠る圭くんの顔を見つめる
…あの時、カズくんに刺された時、どんな手段を使ってでも止めていれば…
いや、それ以前に圭くんから離れなければ…
…後悔が尽きることはない
「伊織!」
「伊織…」
『万次郎、けんちゃん…』
「大丈夫か…?痛いとか、苦しいとか、ない?
その…俺、、、」
「伊織、、、」
ベッドサイドで2人が目を潤ませながらそう言う
目の周りが赤い…泣いてくれたんだな、
『大丈夫大丈夫。
あとは安静にして傷口塞がったら退院できるから。
だから、そんな顔しないで…?』
「本当?伊織死なない…?」
『死なない。』
「絶対?」
『絶対。
…心配かけてごめんね、でも、もう私は大丈夫だから』
「…本当に、目が覚めてよかった……」
『…2人とも、手貸して?』
「?」
「ん、」
まだ不安気な2人の手を取り、両側の首筋にその手を沿わせる
2人の骨張った指越しにトクトクと血の流れる音が感じる
『…ね、動いてるしあったかいでしょ?』
「っ、うん」
「ああっ、」
『だから、大丈夫。
もう大丈夫だから、』
私がそう言って笑うと、2人も口角を上げて下手くそな笑顔を向けた
目尻がキラリと光ったのには気付かないふりをしておこう