第11章 Bloody Halloween
「はぁ…」
目を開けて、針を手に取る
今改めて伊織の背中を見て誓った
次こそは助ける
次こそは守る
マイキーから預かった伊織と場地の命
必ずアイツらのところまで繋ぐ
そう思うと、さっきまでの恐れが引き、いつのまにか手の震えが止まっていた
「…右の脇腹、下から2本目と3番目の肋骨の間から、、根元まで刺す…」
…絶対痛いよな
根元までって…結構な勢いだぞ……
でも、それでも…やるしかない
「…伊織、いくぞ、」
聞こえているか分からないが、伊織にそう声をかける
ドッ!
『っあぁっ!!!』
伊織が甲高い悲鳴を上げ、身体を丸めた
無意識に針に触れようとする手を捉え、何度も何度も謝る
「ごめん、本当に痛かったよな…本当に、ごめんな、、、ごめん…」
『はぁっ!、、、くっ、』
痛みに顔を歪める伊織
…そうだ
確か空気が出てれば成功だと言っていた
シューッ
「っ!出てる!!」
…よかった………!
俺、やれたんだ…!!
伊織を助けられたんだ…!!!
安心して身体中の力が抜ける
…人生でこんなにも怖かったのも、嬉しかったのも、はじめてだ
『…かず、く、、、』
「っ!伊織…!!?」
『ッハ、、ありが、とう』
血と汗でぐしゃぐしゃになった顔でそう弱々しく言う伊織
その姿はこの世の何より美しくて綺麗で、伊織の言葉に俺の涙腺は崩壊した
伊織はそれを見て笑い、ゆっくりと目を閉じた
…俺のエゴかも知れないが、その表情は先ほどよりもいくらか穏やかに見えた