第11章 Bloody Halloween
ジャキ……ビリリリッ!
うつ伏せで倒れる伊織の着ていた特攻服を切り裂く
ナイフが刺さったままの背中
そこに触れないように、丁寧に服を剥いでいく
「…」
ごめんな、
そう、心の中で謝りながら、ゆっくりと胸元に巻かれていたサラシを切り、背中を露にする
「っ!」
そこに残る大きな傷跡
何重にも重なっている傷、根性焼きの跡、、、
痛々しい傷が折り重なり、綺麗な肌に似つかわしくない凹凸が背中一面を埋め尽くしている
…2年経っても消えない、か
伊織の知らない傷
俺たちが誰にも見せたくない傷
細心の注意を払い続けて隠していた傷
タケミチが切ろうとした時、マイキーのあの焦った顔が忘れられない
きっと俺も同じ顔をしていた筈だ
俺たちしか知らない
俺たちの唯一の取り返しのつかない過ち
俺たちの甘えが招いた事件…
傷跡から目を背けることはせず、手をそこに乗せ、一度目を閉じる
脳裏に焼き付いて離れない光景
あの時の感情がすぐに思い出されて、悔しさに拳を握りしめる
「…ごめん、本当に、ごめんな、、、伊織…」