第11章 Bloody Halloween
「…タケミっち、お前、、知らなかったのか…本当に……」
「は?何がですか?」
「…いや…分からないならいい。
…その針刺せば良いんだな…?
………俺がやる。お前達は離れろ。」
「え、マイキーくん…?」
「いや待て、マイキー」
「…一虎」
マイキーくんの肩を掴むと、一虎くんは伊織さんと場地くんの姿を見て顔を歪める
と、俺の手から針をひったくると口を開いた
「タケミチ、右脇腹のどこだ。
どこにどれくらい刺したらいい?」
「えっと…下から2本目と3本目の肋骨の間に、根元まで刺せって……
反対の穴から空気が出れば成功だって言ってました…」
「分かった。
…マイキー、俺がやる。
みんなは捕まったらダメだ。
頼む。どうかここは俺に任せてくれ…」
「…」
「俺は全部知ってる。分かってる。
ちゃんと、来た救急隊の奴にも伝える。
だから、俺ならいいだろう…?」
一虎くんはそう言ってマイキーくんの目をしっかりと見る
「…マイキーの大切な人の命、この一回だけでいい。
俺に預けてくれ」
一虎くんはゆっくりと頭を下げた
ドラケンくんと三ツ谷くんはそれを見ると、マイキーくんの方に視線を向ける
「…」
マイキーくんは浅く、苦しげな呼吸を繰り返す伊織さんの頬を一度撫で、お守りを場地くんの手に握らせるとゆっくり立ち上がった
「…分かった。
………絶対2人とも死なせるな」
「…ありがとう」
その言葉を最後に、マイキーくんは振り返ることなく背を向けて歩き始める
そして、ドラケンくんと三ツ谷くんは最後にもう一度3人を振り返ってマイキーくんの後に続いた
何が何だか分からないけど、とにかく…!
伊織さん、場地くん、どうか、どうか死なないで…
俺も3人を見つめて涙を拭き去ると、千冬と一緒にマイキーくん達の背中を追った