第11章 Bloody Halloween
「警察だ」
「帰んぞ、お前ら」
「解散だ!はけろはけろ!!」
ギャラリー達も帰って行く
…救急車も来てるはずだけど……待ってるだけじゃ間に合わない…!
俺が…!俺が刺さないと…!!!
「…マイキー、警察だ。
救急車も来てる…だから、」
「…だ」
「…」
「嫌だ。俺は残る…!
伊織を置いてなんか行けねぇ…!!!」
「マイキー…」
ドラケンくんとマイキーくんがそう話しているのが聞こえる
…マイキーくん、まずい……もう精神が正常じゃない…
口ではそう言いながらも、マイキーくんは伊織さんの状態を正確に確認できる距離まで近づけてない
身体がそれ以上伊織さんに近づくのを拒絶してるんだ
彼女の状態を知るのが、怖いんだ
そしてそれはマイキーくんを諭すドラケンくん達も同じ
人が目の前で死ぬのなんか、誰もみたことがない
それも、大切な人が
ドラケンくんは頭では理解してても、自分だって警察が来るからといってその場を離れようとしない
瞳に涙を溜め、時折それが地面に茶色いシミを作る
そしてその視線は伊織さんと場地くんだけに向いている
三ツ谷くんもだ
悔しげに涙を流し、まるで現実から目を背けるように固く目を瞑っている
周りの人が肩を掴んで動かそうとしても、それすら振り払う
「…俺が伊織と場地と残る。
みんなは行ってくれ」
誰も動けない中、1人立ち上がって声を上げた
「一虎くん…」
「…マイキー、約束する。
伊織も場地も死なせない。
俺が、救急車来るまで、どうにか持たせるから…だから、頼む。
行ってくれ…
ここでみんなが捕まるのなんか、2人は望んでないはずだ…」
一虎くんはそう言ってマイキーくんの背中を押す
…一虎くんは覚悟を決めたんだ
それなら俺も…!
俺が伊織さんを、助けるんだ…!!!
俺は伊織さんに握らされた針をもう一度強く持った