第11章 Bloody Halloween
そしてそれは俺も同じ
とりあえず伊織さんの言うがまま、触ったこともない医療器具を彼女に差し出すが、伊織さんの手元なんて見てられない
血の匂いだけで頭がおかしくなりそうなのに、このどうしようもない状況を打開する考えなんて俺にはない…!!!
『……………』
「え?」
『………て、……を…』
「なんですか…?」
「み………く……せ……………』
「伊織、さん…?」
場地くんの手をずっと握り続けていた千冬も彼女の異変に気づいた
何がぶつぶつ言ってる…
俺は最大限まで伊織さんの口元に耳を近づける
『肝臓組織の損傷部位を修復、かつ5-0での血管縫合…肝動脈を遮断、筋組織の再建、腸壁縫合…又は状態観察後部分切除術…』
なんだ…医療用語……?
そんなこと言われたって俺たちは何もわかんねえ!!
「伊織さ、、、え?」
「伊織さん…?」
『……………』
ずっとボソボソと呟き続ける伊織さん、
その表情を見ると、もう目が死んでいる
本当に腕だけが動き続け、壊れた人形のような不気味さがあって、背筋に悪寒が駆ける
「伊織さん!!!
起きてください!!伊織さん!?」
『っ!ゲホッゲホッ…!
ハァ、ハッ、』
「伊織さん…?」
『あ…ごめ、、』
「…よかった、」
本当に機械みたいになっていた
よかった…本当に………
少しだけ目に光が戻った伊織さんは糸を使って場地さんの体に何かをしていた
『ハァッハァッ、っ!!、、ゼェ……終了…』
「え、」
『あとは…病院で………』
ドサッ
「っ!!伊織さん!!!」
場地くんの治療を終えると、伊織さんはその隣に倒れた