第11章 Bloody Halloween
『ハァ、ハァ、、、そこのハサミみたいなの取って…』
「コレですか…?」
『違う…その隣、ちっさい方…』
「はい、」
『次そこのピンセットと糸使うから袋から出しといて…』
「わかりました…」
『っ!ゴフッ』
ービチャッ!
「え、伊織、さんだよな…あれ」
「なんでここに…?」
「いや、それより、、、伊織さんさっきから何やってんだ…
医者みたいなこと、」
「場地くん、生きてるのか…あれ、」
もうどうしようもないけど、周りの東卍の奴らがそう口々に呟くのが目に入る
伊織さんは既に俺や千冬の声しか聞こえてない
近くの音しか拾えてない
「…東卍の脳…あの女のことだったのか…?
存在したんだな」
「恐らく間違い無いだろう
それだけの頭脳を持って無いと、あんなレベルの治療できねえよ
場地が生きてるかは知らねえが」
「東卍の脳ってのもそうだが、マイキーの女ってのもあの女か
だがあの女はもう時間の問題だろ
場地は助けられたとしても、あの女を治療できる人間はいない訳だし」
「ヒャハ!
やっぱあの時の女だ♡
伊織つったな…いい女な上に東卍の脳だったか〜」
ギャラリーからもそんな会話が聞こえる
マイキーくん達が必死に隠してきた伊織さんの存在が…!
東京中の不良に知れちまった!!!
なんで隠してたのかも知らねえけど…!
良くないことなのは確かだ!!
その中でも伊織さんの手は止まらない
身体はふらふらしてて今にも倒れそうなのに、目は虚なのに、それでも手だけはテキパキと動き続ける
素人目からしても、速いのがわかる
そしてその様子を呆然と立ち尽くして見つめるマイキーくん達
…そりゃそうだ
中学生がこんなこと普通できるわけがない…!
そして伊織さんだって重症だ
動かない方が良いのは分かっているのに、手を止めてしまったら場地くんは100%死んでしまう
沢山の感情が入り混じって、全員のキャパを超えてしまってる
だから誰も動けないんだ…!!!