第11章 Bloody Halloween
あー………やばいな…
本当に失敗した
気づくのが遅れた
圭くんがナイフを振り上げた時、咄嗟に間に入った
肩甲骨辺りで止まってくれると思ったんだけどな…
ナイフの先は右肺まで到達してる
息を吸うたびにゴロゴロ音がするし、死ぬほど痛い
吐血した出血量も、そろそろデッドラインだ
それでもなんとか目の前の圭くんの治療の手は休めない
…彼も出血が多すぎる
動きすぎなんだよ、大体
完全に傷口広がってるじゃん
…目が霞んできた
脳が、耳が、、
私はみんなみたいに体格に恵まれてないから、そんなに持たない
…何もしなかったらあと10分ってとこか、、、
ハハッ…死ぬなぁ、私
救急車が来るまで5分として、搬送から治療までは約10分
まともに治療を受けられるまでさらに最短でも5分
…20分はどう頑張っても持たない
それなら、圭くんだけでも………
圭くんは今大きな血管は閉じた
これ以上出血が進むことはない
組織の修復もできる限りやってる
死ぬとこだったけど……救急隊が来て、早く適切な処置をすれば病院までは持たせられる
マジックで圭くんの腕に救急隊でもできる処置を書いておく
…そして医者への情報も
『っ!ゲホッゴポッ』
…嗚呼、そっか
やたら苦しいと思ったら…気胸になってる
そりゃ痛い訳だ…
出血多量に気胸となれば、いよいよだな…
もうものの輪郭もぼやけ始めた
音もほとんど聞こえない
口の中の血の味がしなくなってきた
なんだかすごく高揚してる
足にはピクリとも力が入らないのに、踊り狂ってしまいそうなほどに興奮している
死ぬって…こんな感じなのか……
そっか
でも、あと少しだけ、待って
最後にこの箇所だけ、縫合したら、もういいから…
圭くんだけでも、助けるんだ