第2章 Chance
「っ!伊織さん!?」
ドサッ
橘直人と握手した瞬間、力が抜ける様に崩れ落ちた伊織さんを慌てて支える。
花垣はそのまま顔から床に倒れていたが、そんなことはどうでもいい。
腕の中の伊織さんを勝手に橘の部屋のソファに寝かせ、必死に名前を呼ぶ。
「伊織さん!伊織さん!!!」
確か…
【いい?千冬くん。
もし意識のない人を見かけたら、揺さぶっちゃダメだよ?
頭を揺らさない様にして、肩を軽く叩きながら呼びかけるの。】
「伊織さん!聞こえますか!!
大丈夫ですか!?」
何度肩を叩いても、名前を呼んでも反応がない。
怖くなって首筋に触れると、脈はちゃんとある。
「…どうやら2人ともタイムリープしたみたいですね。」
「っ、テメェ、、、伊織さんに何した…?」
「何って、貴方も見ていたでしょう?
握手しただけです。」
「チッ!
伊織さんに何かあれば、俺がお前を殺す…!!」
「…肝に銘じます。」
本当にただ眠っているだけの様な2人。
花垣の方は床に倒れているままだが、橘は気にする様子もなく俺に話しかけてくる。
「…随分と彼女を大切にしてますね。
恋人ですか?」
「は?違ぇよ。俺なんかが手ェ出していい人じゃねぇんだ。」
「それでは、何故彼女にそこまで入れ込むんです?」
何故って、
それは…
「…俺が人生で最も尊敬する人に頼まれたからだ。」
「…そうですか。」
【千冬ぅ、、伊織は、絶対帰ってくる、、、
あいつは、絶対、、まい、きーを、救える…
だから、よ、、いつか、あいつが、帰ってきたら、俺の代わりに、、助けになって、くれ、
アイツを、守ってくれ…!!!】
【はい、!…ぜってぇ!守ります…!!!】
【ありがとう、なぁ、千冬。
…頼んだぞ。】
伊織さん、
どうか、ドラケン君を、マイキー君を、、、
場地さんを、東卍を、、頼みます…