第10章 Betrayal
「伊織さん…」
『…』
「すみません。俺、、、俺、わかりました。
この前伊織さんが稀咲がどうでもいいって言った理由。
それは場地くんの命を最優先にするからですよね。」
『…』
結果集会のあと、マイキーくんと離れたタイミングを狙って伊織さんに話しかける
伊織さんはまだあの日のように冷えた目で俺を見つめていた
「俺、確かに何もわかってなかった。
稀咲はまだチャンスはあるかも知れない。けど、死んだ人は戻らない。
それをちゃんとわかってなかった。」
『…』
「すみません、色々無神経なこと言って…」
視線に耐えられなくて少しずつ顔が下がる
黙っている伊織さんの顔をチラリと見ようと少しだけ顔を上げた
『…うん、半分正解』
「へ?」
『その通りよ。
稀咲がどうでもいいって言った理由。』
そう言う伊織さんの目はさっきの凍てついた目ではなく、暖かな温度が感ぜられ、柔らかく微笑んでくれた
その表情に安心して、俺は思わず息を吐き出す
ん?でも待てよ…半分正解って、、
「半分?」
『ええ。
圭くんを連れ戻さない理由はまた別だから。』
「稀咲がどうでもいいってことは、その他に場地くんが帰って来られない理由がある、と。」
『そう。
…でもまぁ、それはタケミっちにとってはどうでもいいことね。
明日は何としても圭くんを守る。』
「?はい!」
気になると言えば気になるが、前日の今日、必要以上に情報を入れて、当日混乱してますじゃ話にならない
伊織さんと目的の一致ができていれば十分だ
「…伊織さんは…明日どうするんですか?」
『私も出るわ。』
「はっ!?」
『だって、現場に居なくてどうやって守るのよ。』
「え、いや、、、でも、危ないですし…」
『大丈夫。
ずっと準備してきたから。』
「準備…?」
『まぁ、とにかく、、、明日は2人で圭くん死守するわよ?』
「はい!」
久々に彼女の笑顔を見ると、俺は帰路についた
明日は絶対に場地くんを守る!