第10章 Betrayal
万次郎とけんちゃんが前に立つ中、私は木の影に隠れて隊員達の表情を観察する
…みんなピリピリしてる
万次郎の言う通り、完全に戦闘モードね
そしてその中で特に1人の表情の変化を注視する
…稀咲鉄太
アイツが、、、
前はタケミっちのパンチから庇うようにしたから顔はほとんど見えなかった
…あんな顔してたのか
全てが予想通りだと言わんばかりの顔
その自信に溢れた表情、いつかぶっ壊してやる
ー稀咲を殺す…!!
ー稀咲のせいで場地さんは…!
現代で悔しげにそう話すけんちゃんと千冬くんの顔が脳裏に浮かぶ
…私もできるならすぐに殴り飛ばしたい
タケミっちのこの前の衝動が私の中にもある
それを抑えるように拳を握り、その気配を悟られないように必死に押し殺す
「みんなよく集まってくれた」
万次郎の話が始まる
みんな真剣に耳を傾け、万次郎の方だけを見つめる
それでも、私は稀咲を注視し続ける
「…俺、ガキになってもいいか?」
みんながざわざわと口を開いたり、困惑した表情を浮かべる中、稀咲は少し訝しげに顔を下げただけで眉ひとつ動かさない
…お前は万次郎を本当の意味で何も知らない
万次郎はお前の思ってるような人間じゃない
「俺はダチとは戦えねえ、」
「…」
一瞬だけ、ピクリと眉が動いた
しかしその程度、
…予想通りってことなのか、或いは万次郎が圭くんと争うかどうかというのは稀咲にとって大きな問題ではないということなのか、、、
「それが俺の出した答えだ!!!
みんな力を貸してくれ!!!
明日俺らは芭流覇羅ぶっ潰して場地を東卍に連れ戻す!!
それが東卍の!決戦だ!!!」
歓声が上がる
みんなが士気を爆発させ、万次郎の言葉に全員が同期した
そしてその中で
稀咲は初めて感情を顔に出した