第2章 Chance
『えっと、、、貴方は…花垣武道さん、でしたっけ?』
「あ、はい。」
「彼はさっき言ったように、姉の元恋人です。」
「…元って言われると虚しいな…」
「事実ですから。」
「『…』」
花垣さんは、なんというか…ちょっと、いや、大分頼りない。
この人、大丈夫なのかな…?
「それで、伊織さんがこの話に参加するメリットですが…」
『はい。』
「貴方が武道くん同様、12年前にタイムリープできるとするなら、貴方は過去の佐野万次郎に会うことが出来ます。」
『!』
「そうすれば、東京卍會が巨悪化するのを止められる。
つまり、現代の佐野を救うことができるんです!!!」
…確かに、橘さんの言う通りだ。
もし私があの頃に戻れるなら、万次郎を助けられる。
壊れない様に、側にいて支えてあげられる。
ただし、私が本当にタイムリープできるなら、の話だ。
花垣さんと違って、私はタイムリープした覚えなんてない。
橘さんの記憶の中にあるだけだ。
でも、現代で万次郎に会うのは、正直厳しい。
橘さんが警察で手に入れた情報にも万次郎の居場所は引っかかってないらしいし…それを一般人の私たちが警察以上の情報を手に入れられる筈もない。
『…私も、賭けてみる。』
「やってくれますか。」
「伊織さん!?」
『…千冬くん、心配してくれてるのはわかってる。
でも、、、ごめんね、私どんな手を使っても万次郎に会いたいの…!!』
「っ、」
こんなにも遠くに行ってしまうなんて、思いもしなかった。
こんなにも貴方が苦しんでるなんて、知らなかった。
可能性が低くても、夢みたいな話でも、それでも、もう一度貴方に会えるなら、私はなんだってやる。
「…そこまで言うなら、俺はもう止めませんよ。」
『ふふ、ありがとう、千冬くん、、』