第2章 Chance
橘さんの家に行くと、まずは橘さんが自身で考えたタイムリープの見解を発表した。
…信じられないことに、ここにいる花垣武道くんは線路に落ちた瞬間、12年前に行っていて、運命を少し変えたら死ぬはずだった橘さんが生きていたと言うのだ。
「…で、お前らの話は何となく分かったが、何でそれに伊織さんが必要なんだ。
伊織さんは別にタイムリープした覚えなんか無いんだぞ。」
「…それが僕も予想外でした。
僕は確かに2人から忠告を受けた。だから、今の武道くんと同じように記憶があるものだと思っていたんですけど…」
「?俺が直人と話した時は俺1人だったぞ?」
「ああ、伊織さんが僕に忠告したのは武道くんに会う前です。
同時に言われた訳ではないですよ。」
「そうなのか?」
「はい。
…でも、僕は12年前貴方に会っている。
だから、協力をお願いしたんです。」
『…』
橘さんは私の目を真剣に見ながらそう言う。
…嘘をついている様には見えない。
「…俺からもいいか?」
「どうしました?武道くん。」
「…直人は分かるんだけどよぉ、この2人、誰だ?」
そう言って花垣くんは私たち2人を見て言う。
…そういえば初対面のままだったな。
『高宮伊織です。
こちらは松野千冬くん。』
「…」
「お二人とも昔の東京卍會に詳しい方々です。
伊織さんはお医者様で、アメリカで積まれた経験から、日本でも相当優秀な方として有名です。」
「何でテメェがそんなこと知ってんだよ。」
「調べましたから。
警察の情報網を使って。」
『…』
橘直人さんって、お姉さんを救いたいのは分かるけど、ちょっと変…というか、、、なんかこう、、ちょっと怖い人だなぁ…