第2章 Chance
「ちょっと待て。」
『千冬くん…』
「お前が姉ちゃんを助けたいのは良く分かった。
それと、百歩譲ってタイムリープの件も本当だとする。
…でもよ、お前、少し都合が良すぎねぇか?
お前の姉ちゃん助けるのに伊織さんが協力する利点はあるのか?それと今寝てるコイツも。
少しでも伊織さんに危険があるなら俺は絶対にそんな真似はさせられねぇ。」
千冬くんは真っ直ぐに橘さんの目を見る。
橘さんはゴクリと喉を鳴らすと、少し視線を逸らせて話し始めた。
「武道くんは、中学時代、姉と恋人同士でした。
今は違いますが…
彼の場合はその思いが少しでも残っていることに賭けています。」
「…で、伊織さんは?」
「伊織さんは…「ん?」
「あぁ!気がついたか!!?」
駅員さんの声で私たちは一度眠っていた彼の方を見る。
「ん?ここは?」
「駅の医務室だよ。
君は駅のホームから線路に落ちたんだ。」
「…?
…あれ!?
あんな状況で俺助かったのか!?怪我ひとつしてねぇぞ!?」
『いや、膝は擦りむいてるよ。』
「…少し、僕らだけで話をしても良いですか?」
「あっ、どうぞどうぞ」
「ん??誰だ?」
「ああ、彼らが君を救ってくれたんですよ。」
「へ?」
「橘直人です。」
「…はぁぁぁあ!?」
それから花垣くんは大分混乱してて、これは現実か、直人は死んだはずじゃ、あれは夢じゃ無かったのか、と訳のわからないことを呟いていた。
橘さんは私たちに一言断ってから、花垣くんにさっきの私たちにしたような説明をした。
「…とりあえず、皆さんウチに来てください。
全て説明します。」
そうして私たち4人は橘直人さんの家へ向かった。