第10章 Betrayal
ザー……
「…そっか、兄貴の話聞いたか」
「カッケェ人だったな。真一郎くん」
「うん」
『…』
「タケミっち、俺らもわかってんだ。
あの事件は今更どうにもならねえ。
場地も、一虎も、あんなことしたかった訳じゃねぇ」
「そう
今更しょうがねえってわかってる。
でも…心がついてこねぇ」
『…』
「…伊織、行くぞ」
『先行ってて、お花手向けてすぐ行くから』
「…わかった」
「…」
「…」
いつも伊織さんから離れようとしない2人が…
珍しいな
俺たちは花を手向け、手を合わせる伊織さんに背中を向けてマイキーくんの後ろを歩く
と、マイキーくんが口を開いた
「場地と一虎が盗もうとしたバイクは、兄貴が乗ってたバブなんだ。」
「え…」
「俺の誕生日にプレゼントしてくれるはずだった。」
「…」
「兄貴の形見のバブ。
今の俺の愛機だ。
…あれから2年、場地のことは許した。
でも、知らなかったとしても、今更どうにもなんなくても、、、兄貴を殺した一虎だけは、一生許せねぇ」
「…」
「場地が一虎側に行くのもな。
タケミっち、俺は場地を連れ戻せと頼んだはずだろ?
なんで場地んとこの副隊長がいて、場地がいねぇんだ?
お前は何がしてぇんだ?タケミっち
…マジで死にてえの?」
いや、、、俺は…
俺のしたいことは…
マイキーくんに場地くんを連れ戻せって言われて、連れ戻せたら稀咲をクビにできるって思った
稀咲を東卍から追い出せれば未来は変わって、ヒナは助かるかもしれない
…いや、
違う!!
ヒナが焼かれる火を見て誓ったのは…そんなことじゃない!!!
「マイキーくん」
「…」
「俺は、東卍のトップになりたいです…!
いつかマイキーくんにそれを認めさせてみせる…!!
それが俺のしたいことです!!!」