第2章 Chance
ー2017年7月4日
『おはよう、千冬くん。待った?』
「いえ…って、なんですかそのサングラス。」
『何って…変装?』
「丸眼鏡のサングラスって、、、普通に変ですよ。」
『私だって分からなかったらいいから良いの。
それより、千冬くんはなんでスーツ?』
「駅ならスーツの人間なんてわんさかいるだろうから、紛れられるだろうと思ったんです。」
『!なるほど!!紛れるってのは頭に無かったな。』
「…伊織さん逆にそれ目立つから辞めましょう。」
『えー!』
「…伊織さんって頭良いのにたまに凄く馬鹿ですよね。」
『え?何?喧嘩売ってる???』
「売ってません。
…じゃあ行きましょう。」
千冬くんと一緒にホームの影から視線を巡らせる。
その時にやっと私は千冬くんに事情を説明した。
「…それより、昨日急に自分だって分からないように変装してきてってメッセージ来たから驚きました。
俺たちは一体何を確かめに来たんですか?
そろそろ教えてください。」
『あー…なんか、今日ホームから花垣武道って人がホームから落ちるんだって。』
「は?」
『いや、分かるよ。私も何言ってんだって思った。
でも、もしそれが当たってたとしたら、どう?』
「…アイツ、未来が分かるんですか?
いや、普通に考えてアイツがその花垣?ってやつを落とすってことですよね??」
『それを確かめに来たの。
橘さんは僕が花垣くんを助けますって言ってし、ここでこうやって見張っておけば、花垣武道って人の自作自演とかの線も消えるでしょ?』
「まぁそうですけど、、、橘とその花垣ってやつを落とす犯人がグルだった場合、元も子もないですよね?」
『あ、』
「…考えてなかったんですね。」
『…』
本当じゃん。
『っ、でも!橘さん、もしかしたら万次郎に会えるかもって言ってたんだよ!』
「え!?」
『それ聞いちゃったら、その、、、少しくらい期待したくなって…』
「…」
軽率だ、って、呆れられるかな。
そんな夢みたいな話にホイホイ付いて行って。
「オイ!誰か落ちたぞ!!!」
千冬くんが口を開こうとした瞬間、そんな声が直ぐ横から聞こえた。