第2章 Chance
「伊織さん!!
大丈夫でしたか!?」
橘さんが立ち去るとすぐに千冬くんが走ってこちらにやってきた。
『千冬くん…私は大丈夫、』
「で!何を言われたんですか!?もしかして脅されたりしましたか!?」
『ぇ、いや、そんなことは…』
でも、なんで言うべきなんだろ。
橘さんは言って欲しくないって言ってたし…
それ以前に信じられないことばっかり言ってて結局よくわからなかったからな…
【佐野万次郎と接触できるかも知れない】
でも、もしあの言葉が本当なら、もっと話を聞きたい。
あ、でも連絡先も何も聞いてなかった。
…どうしよう。
「さん、伊織さん!!」
『わっ!』
「ちょ、本当に大丈夫ですか!?」
『ん!?何が?』
「何がって、、、何回も読んだのに伊織さん全っ然返事しないから!」
『ああ、ごめん…ちょっと、考え事してて。』
…やっぱり、あんな話直ぐには信じられない。
そして確かめるには3日後に○○駅に行くしかない。
でも、それを言ったらきっと、千冬くんは行くなって言うよね…
それなら、
「…で、なんて言われたんです?
そんなに大変なことですか?」
『あー、、、まぁ、そうなんだけど、
イマイチ信用ならないって言うか…』
「まぁそうでしょうね。
会ってまだたった数分ですし。」
『だからさ、確かめに行こうと思うの。
それで信じられそうだと思ったら千冬くんにも話す。
でも、さ、やっぱり1人で行くの不安だから、千冬くんも着きてきてくれる?』
「!
当たり前じゃないですか!!
ていうか、1人でなんか行かせませんよ!!」
『よかった。ありがとう。』
それから3日後に○○駅前のカフェで待ち合わせる事を決めると、千冬くんに家まで送ってもらって別れた。
…不思議な人だったなぁ、橘さん。