第9章 Check
驚いた
だが、それでわかった
マイキーだって自分がおかしいのはわかっていたんだ
伊織を傷つけることも、それが嫌だと思いながらも自分が自分で止められないことも
わかっていた
だから安心したんだ
こういう時のために俺たちはみんなでずっと準備してきた
だから伊織がいなくなったことを隠すのは簡単だった
そして目に見えて壊れていくマイキーを見て俺と三ツ谷は誓った
マイキーも心のどこかで望んでいたとはいえ、マイキーから伊織を奪ったのは俺たちだ
だから、何があろうと、例え俺たちがマイキーから殺されることになったとしても、俺たちだけは絶対に着いていこうと
修羅の道だろうと茨の道だろうとマイキーに着いていこうと、そう2人で誓った
…苦しかったよ
ずっと
結果三ツ谷は今どうしてるのかも知らねえし、俺はこのザマ
だがな、今日伊織を見て、俺は安心したんだ
勿論生きていたことも知らなかった、だから当たり前に生きて来れたことに喜びを感じた
そして何より、
お前の隣に千冬がいたことに、なによりも安心したんだ
俺たちが無責任にお前を遥か遠くに1人逃して、ずっと1人だったんじゃないかと心配だった
でも、今お前の隣には千冬がいた
信頼できる仲間がいた
それだけで俺がどれほど安心したか、わかるか?
東卍を辞めた千冬には悪いが、もうあの頃の奴らは頼れねえ
伊織は稀咲から狙われ続けるだろう
用心深い男だ
12年前とはいえ、マイキーが何よりも大切に思っていた女を見逃すわけがない
だから頼む
千冬、どうか伊織を
俺たちが唯一まだ奪われていないものを
お前が守ってくれ