第9章 Check
コンコンコン
ウィーン
「…お待たせしてすみません」
「…いや、大して待ってない」
「?伊織さんは…?
貴方と一緒に来ると伺っていたんですが、、、」
橘との待ち合わせ場所のパーキング
先についてスマホをいじっていると、運転席の窓を叩かれた
「…後ろで寝てる。
当直明けらしいから、出来るだけ寝かせてあげたい。
…隣乗るか?」
「僕が隣に?…いいんですか?」
「伊織さんを起こしたくないだけだ。」
「…そういうことなら、お邪魔します」
「…」
橘はそう言って静かに助手席のドアを開けて乗った
「出すぞ」
「お願いします」
なるべく揺らさないように気をつけながら運転する
ルームミラーから伊織さんの様子を見ると、顔に髪がかかっているが、すやすやと寝息を立てて眠っていた
「…大変なんでしょうね、、医者というのは」
「…」
「…救急医でありながら全ての外科手術が可能で、この若さで大変難しい症例をいくつも挙げていると聞いています。
…治せないと言われた時、最後に頼られる立場でもあるそうですよ。」
「…」
「…まだ、僕のことを警戒しておられますか?」
伊織さんのことならわざわざお前に教えてもらわなくたって知っている
…アメリカにいると知った日から、医者をしていると知った日から、伊織さんの載る雑誌や記事なんかは英語でも翻訳して読んだ
知り合いのツテを頼りまくって医療界の話も聞いて調べた
いつか、彼女が日本に帰ってきた時に守るために