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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第9章 Check


「伊織さん」

『…ぁ、』

「着きましたよ」












千冬くんに言われて我に帰る

車内の窓から周りを見ると、そこは私のマンションの前

送ってくれたんだ…















「伊織さん
…その、、、次はきっと上手くいきます!」

『…』

「…俺がこんなこと言ってもって話ですけど、、、
絶対、、、絶対大丈夫ですから…!」















千冬くんはそう言って無理やり笑顔を作る



…この世界では私のせいで圭くんが亡くなってるのに、、、それなのに、私は千冬くんに気を使わせてる、

彼の方が何年も何年も辛い思いをしてきたのに…
















『…ごめん、
私の方が弱気で、、、』

「いいんです。
…弱気になるときくらい誰にでもあります。
だから、、今は思いっきり落ち込んで下さい。
そしたら案外スッキリしますから…」

『…ありがとう』

「いえ、、、それじゃ、おやすみなさい」

『…おやすみなさい』














そう言って助手席から降りると、千冬くんは寂しそうに笑って車を出した



















実際には住んだこともない部屋

それでも何故かちゃんと記憶の中にはあって、当たり前のように鍵を開けて足を中に踏み入れる






…前の世界とは違う間取り

前の世界とは違う家具








その違和感に少し吐き気を覚えながら、なんとかシャワーを浴びてベッドに倒れ込む













このまま眠ってしまおう


そう思って瞼を閉じると、枕元の携帯が震える












のそのそと画面を確認すると、病院のスケジュールアプリで、明日の予定のアナウンス通知だった












『…明日仕事…か、』












正直行きたくない

このまま気が済むまで眠って腐っていたい






…オペが3件






うちひとつは頭…
















救命医なのにこんな予定も入る


…流石に明日は休めない…













患者を裏切ることだけはしてはいけない


私にとっては数あるオペでも患者にとっては一生を左右するものだ






…私の意思なんか関係ない


私は人である前に1人の医者だ
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