第9章 Check

『…けんちゃんを殺そうとしたのは稀咲だった。
そしてその作戦が失敗した稀咲は、直接東卍のNo.2になる術を失った。それは事実。』

「！龍宮寺の事件も稀咲が絡んでいたんですか…！？」

『はい…
証拠は掴めませんでしたが、あの内部抗争の裏に稀咲がいたのは確かです。
目撃者もいます。
そしてそれさえ分かれば、私たち未来から来た人間なら稀咲が全ての糸を引いていたことは容易に想像がつきます。』

「確かに…」

『…つまり、稀咲を排除しないことには東卍の未来はない。
そして東卍内部にはその稀咲を追っている人間がいた。』

「えっ！そんな人いたんですか！？」

『ええ。
…まだタケミっちはほとんど会ったことないわね。』

「っ、その方は今どこに！？
話を聞いて…」

「…死んだよ。12年前に」














「え…」

『…』















今までずっと黙っていた千冬くんが口を開いた

…私の少し後ろにいる彼の手から赤い液体が見え、彼が小さく震えているのに気がつき、私がその続きを引き継いだ
















『…東京卍會壱番隊隊長、場地圭介
…この世界で彼は12年前のハロウィンに亡くなってる
………千冬くんの最も尊敬する人だった』

「…そう、ですか、、、
すみません」

「…」















ナオトさんが申し訳なさそうにそう言う

千冬くんは顔を上げない













『…彼が亡くなった抗争、その抗争は後に血のハロウィンと呼ばれた。
そしてこの事件で東卍は堕ちた。
稀咲に呑まれるきっかけになった事件。』

「…その、場地さんって方が亡くなったから、ですか…？」

『…その通りといえばそう。
でも少し違う…』

「伊織さん、あとは俺が話しますよ」

『千冬くんでも…「いいんです。俺は大丈夫です。」

「伊織さんはあの時あの場にいなかった。
…俺の方が詳しく話せます。」

『…それなら、お願い』

「…」

「…」













千冬くんは顔を少しだけ上げると、あの日のことを話し始めた


…血に濡れたハロウィンの日のことを