第9章 Check
私たちはずっと頭を下げ続け、その間この空間にはただナオトさんの鼻を啜る音だけが響いていた
…彼はお姉さんを救うために12年間、努力し続けていた
それでも、救えない
人に頼るしかない悔しさ
上手くいったはずなのに一瞬にして全てを覆されるという絶望
それらを私たちが量り知ることなど出来はしない
「オレは…」
『…?』
「…」
「…」
今までずっと黙っていたタケミチくんが口を開き、その場の全員の視線が彼に集まる
…彼は俯いたまま続けた
「オレは、ヒナを目の前で殺されて、誓った。
ヒナが幸せになれる未来を勝ち取るまで、絶対に折れない…!」
「タケミチくん…」
『…』
「…」
タケミチくんは目に涙を溜めながらそう言う
「…そのために、根っこを叩く。
…オレが、東卍のトップになってやる!!!」
「…は、、、
何を言い出すかと思えば…」
「ナオト!オレは本気だぞ!!!」
「…トップって、、そんな無茶…」
「無茶でもいい!!
ヒナを救えるならどんな無茶でもする!!!」
『っ!』
タケミチくんは目からボロボロと涙を零しながらもそう言った
…その目は本当に本気で、誰も何も言えなかった
『…私も…!誓います
何度同じことを繰り返したって、絶対に折れない…!
東卍をこんな組織には絶対させない!
止めてみせる…!!!
ヒナちゃんも必ず助ける!!』
「伊織さん…」
そうだ
無茶くらいする
それでみんなが助けられるならどんな無茶だってできる
タケミチくん、その気持ちは私も同じだよ
と、ナオトさんが涙を拭いて私の目を見た
…先程とは違った澄んだ瞳
「…そう、ですね……
僕らにはまだ方法が残されてる…
…ありがとうございます、2人とも、、、悩んでる余地なんて最初からなかったですよね…」
「ナオト…」
『ナオトさん…』
「…考えましょう、これからのことを」
『はい!』
「おう!」