第2章 Chance
こんなことがあるなんて。
もう2度と会えないと思っていた。
もう2度と声を聞けないと思っていた。
そう考えると度に苦しくて悔しくて悲しくてどうにかなりそうだった。
思い出さない様に、目を背ける様に、いつも記憶を閉ざして過ごしてきた。
お陰で貴方の顔も声も姿も、みんなの顔だって忘れてきていた。
ただ大切なものを失って、胸に大きな穴が空いている感覚だけが私の12年間を占めていた。
それなのに、
嗚呼、貴方の姿を一目見るだけであの日々全てが鮮明に思い出される。
忘れかけていた記憶も、顔も、声も、全て完全に思い出した。
目を開けると、そこにはあの頃のままのみんながいた。
私、こんなにも焦がれていた。
こんなにも貴方を愛していた。
そんなことまで忘れてしまっていた。
きっとこれは、神様がくれたチャンス。
このチャンス、絶対にものにしてみせる。
Chanceー機会