第9章 Check
しばらく千冬くんと2人でぼんやりと庭園を眺めて彼らを待っていた
…ヒナちゃんが生きていると知った時、嬉しかった
…でも、そのヒナちゃんが亡くなった
悲しい
そんな感情は確かにある
だけど、それ以上に困惑していた
ただ、わからなかった
私はきっと、彼女の死を信じられていない
…実は何処かで生きているんじゃないかとすら思ってしまう
実際に彼女の死を見た2人とは違い、私はどこかスクリーンを見ているかのような心地だった
涙のひとつも出てこないくらい、信じられなかった
それから1時間ほど待っただろうか
目を赤く腫らした直人さんとタケミチくんが私と千冬くんの元へとやってきた
…私と千冬くんはソファから立ち上がり2人を迎える
『…ヒナちゃんのこと、、本当に残念でした。』
「…昨日は要件だけの連絡で申し訳なかったです。
お忙しい中お越しいただきありがとうございます。」
『いえ…』
直人さんとそんな中身のない会話をして頭を下げ合う
「…姉は」
と、頭を軽く下げていた直人さんが徐にそう口を開いた
「姉は、小学校の教師をしていました」
『…』
「…以前、、、伊織さんとタケミチくんがタイムリープする前の世界では、姉は東卍の抗争に巻き込まれて死にました」
『…』
「…ですが、今回は違った」
『…』
「…?」
直人さんは顔を上げると、その涙を溜めた瞳のまま私を見つめた
…突き刺すような瞳
「…タケミチくんから現場での話を聞きました。
……今回、姉は明らかにターゲットでした。」
『え…』
「姉は、東卍から殺されたんです…!!」
『っ!』
「っ』
そう言い切ったナオトさん
その目には私への敵意が溢れていた
思わず一歩身を引くと、千冬くんが私を庇うように前に出た
…私がいた東卍が、ヒナちゃんを
罪のない彼女を焼いた…