第9章 Check
「本日は娘、日向の葬儀にご参列いただき…」
『…』
「…」
あれからなんとか千冬くんに事情を話すと、今日は泊まっていくといいと言ってれたのでお言葉に甘えて泊めてもらった
そして2人で次の日葬儀場へと足を運んだ
…千冬くんは来なくても良いと言ったけれど、彼は私に着いて、車まで出してくれた
『…ヒナちゃん』
「…」
笑顔で写っている遺影
すごく綺麗な顔で笑っている
…大人になった貴方にも会ってみたかった
きっと写真以上に綺麗で美しくなっていただろう
「…伊織さん、大丈夫ですか?」
『うん、私は大丈夫。ただ…』
「…」
「…」
私の視線の先には長く彼女の前で手を合わせているタケミチくん
…ニュースになっていた今回の事件
犯人は彼の友人、千堂敦
さらに彼は東卍の末端であり、家族を人質に取られていた可能性もあるらしい
…極め付けは、タケミチくんの目の前でヒナちゃんは、、、
「…」
葬儀会場のスタッフが彼に声をかけるが、彼は目を瞑り手を合わせ続ける
…そんな彼の事情を知っていれば、何も言えない
ー
ーー
ーーー
ーー
ー
千冬くんと2人で葬儀場を出て、ロビーに座る
…タケミチくんとナオトさんにはまだ時間が必要だ
「…橘日向、橘ナオトの姉で花垣タケミチの中学時代の恋人、でしたっけ」
『うん…今回のタイムリープで私とも仲良くしてくれたすごく優しい子。
エマとも仲良くて…
新しい妹ができたみたいに嬉しかった。』
「…そうだったんですね。」
『…浴衣とかも選んでくれて…』
「……本当に大丈夫ですか…?
俺席外しましょうか?」
『大丈夫。』
「…伊織さん、、」
…私はまだ大丈夫
2人の方が参ってるだろうし、、、きっとタイムリープすることを選ぶだろう
…2人の思考が麻痺してる分、私がしっかりしないと