第1章 Blanc
「…場地さんから預かった言葉、そのままお伝えしますね。」
『…うん。』
「【伊織、約束守れなくてごめんな。
それと、マイキー止めてやれなくて、ごめん。
本当は俺1人でなんとかしたかったが、無理そうだ。
…多分、これからマイキーは誰にも止められなくなる。
稀咲に操られて、これからの東卍は堕ちていく。
多分、お前が帰った時、マイキーはお前よりもずっと遠くに行っちまってる。
もう、誰の声も届かねぇ。
でも、よ、
伊織、お願いだ。
マイキーを、助けてくれ。
アイツは、お前達は、俺の宝だ。
これだけは、諦めきれねぇんだよ。
最後にデケェ我が儘言って悪いな。
俺の意思は千冬が継ぐ。
俺の代わりだと思って千冬を使え。
だから、頼む。
マイキーを、稀咲から救ってくれ。】」
『っ、圭、くん、、っ!』
「…伊織さん。」
『っ、ごめ、、、っ、ズッ
ふっ、っ、、、っっ!』
ボロボロと涙が止まらない。
圭くんは誰よりも長く私と万次郎と一緒にいた。
小さい時から一緒にいて、私も万次郎も、圭くんが大好きだった。
圭くんは、私がいなくなってからずっと1人で頑張ってきたんだ。
あんなに明るくて、私たちの太陽みたいだった万次郎が闇に飲まれ堕ちていくのを見るのはどれだけ辛かっただろう。
相談相手もいなくて、頼る人も居なくて、1人で抗い続けるのはどれだけ苦しかっただろう。
全てを置き去りにして、全てを任せきりにして行って本当にごめん。
こんなにも帰りが遅くなって本当にごめん。
最期の時にも、万次郎の事を想ってくれてありがとう。
わかったよ、圭くん。
私が絶対、万次郎を助ける。