第8章 Surprise
「伊織、いいんだって。
偶にはプレゼントくらい貰っとけよ。」
『そんな…!』
「俺らがいいつってんだ。
俺の命の恩人だろ?それくらい贈らせろ」
『貰えないよ!』
「あー!しつこい!!
伊織、男が一度出したもんなんてひっこめられないの!
アンタだって不良グループの一員名乗るならそれくらいわかってないと!!!」
『ええ…』
あたふたと貰えない理由を探す伊織
本当にこの子は…
普通、ある程度の容姿の持ち主なら、周りの男たちからの態度が違ったり、周りから褒められたりして少なからずその自覚がある
私だってヒナだって、それなりの自覚はある
…でも、こんな男所帯にいるというのに伊織には全くそれがない
それはコイツらが何故か伊織の容姿について本人の耳に入るところで発言するのを禁止しているからだ
…本当意味わかんないな
それで防げる危険もあるのに、、、
「伊織、貰っといてやれ。
んで、来年はその浴衣着てマイキーと一緒に武蔵祭り行きゃいいだろ」
『たかちゃん…』
「今年は我慢の祭りを過ごしたんだ。
来年のために取っとけよ。」
さすが三ツ谷
何気に女心が1番わかる男
『…そういうことなら…わかった。
みんなありがとう。
たかちゃんも…髪の毛やってくれてありがと…その、初めてこんな綺麗に結ってもらった』
「大したことはしてねぇよ
でもま、喜んで貰えたならよかった。」
三ツ谷はそう言って笑う
嬉しそうにはにか見ながら鏡に写る自分をチラチラと見る伊織は最高に可愛らしくて、みんなが微笑みながらその様子を見守る
いつものキリリとした凛々しさとは真逆だ
そしてそれを誰よりも優しい瞳で見つめるマイキー
…2人の視線が鏡を通してぶつかると、2人は満面の笑みを浮かべ合う
本当にこのサプライズをして良かったと思った、そんな瞬間だった