第8章 Surprise

『ま、万次郎…？』

「…」

『ねぇ…』

「…」













万次郎がカーテンを仕切って入ってきてしばらく

彼は一言も発することなくじっと私を見ている


…恥ずかしくて仕方がない













『…そんな見ないでよ、、、似合わないし、恥ずかしいから…』

「見るなとか無理
似合ってるし、綺麗だし…誰にも見せたくない。
…俺だけ」

『そ、それって…』

「…」














それって、どういう意味？




…私たちの間をひたすら沈黙が流れる






















「…エマとヒナちゃんには、感謝しねぇとな」

『え…？』

「2人なんだ。伊織にサプライズプレゼントしようって言い始めたの。
…浴衣なのは知らなかったけど、、、まさか俺にもサプライズがあるなんて」

『…そうだったんだ、』

「うん。
俺本当はさ、祭りの日にケンチンがエマの浴衣姿見れるって話聞いて羨ましいって思ってた。
だから、今すっげぇ嬉しい。」

『…』

「本当綺麗だし、似合ってる。
…伊織、俺今幸せだ。」

『万次郎…』















万次郎はそう言って笑う

その頬が少しだけピンクに染まっているのはカーテンの色のせいかな…














『…万次郎、あの、、ね、私今までこんな格好したことなくて…今更こんな格好して、みんなの前に出るの、すごく恥ずかしくて』

「うん」

『で、でも、本当はエマやヒナちゃんの姿とか、見てて、ちょっとだけ、憧れてた。
だから…実は、、嬉しかった//』

「…ごめんな。
俺らなんかと一緒にいるから…そんなオシャレとかそういうの、ずっと我慢させてたんだな」

『違う！…それは、違くて、、、
私が選んだ道、だから、それは全然いいの！
…だから、その分恥ずかしくて堪らなくて…』

「みんな言ってたけどさ、本当に恥ずかしがる必要なんか一個もねぇよ。
伊織は、その…綺麗、だし、、、
お世辞なんかじゃない。
だから、、、大丈夫だ」

『万次郎…』











その言葉が嬉しくて嬉しくてたまらない













『…エマ達にお礼、言いに行かなきゃね』

「そうだな」











私たちは2人で病室を出て彼らの元へ歩いた