第1章 Blanc
『…千冬くんは、今は?』
「俺は9年前、場地さんが亡くなった時に東卍を抜けました。
その時はここまで大きな組織じゃなかったから割とすんなり抜けられて…
今思えば、場地さんが根回ししてくれていたのかも知れません。
三ツ谷くんが俺が抜けるとき、手助けしてくれましたから、、、」
『…たかちゃん。』
よく一緒にみんなの特攻服を治したな。
すぐ喧嘩するから血がついたり破ったり…その度にいつもいつも私とたかちゃんが治して、、、
圭くんのが1番ボロボロだったな。
「…東卍がこんな風になったのは、マイキーくんが変わってしまったからです。
…あまり聞きたくないとは思いますが、、、」
『いいの。教えて。
万次郎が脆いのは誰よりも知ってた。
私だけはもう逃げちゃいけない。』
「…伊織さん、、、
多分、結構キツイっすよ。」
『それでもいい。』
私は今まで逃げてきた。
遠くへ行って、約束を言い訳にして、ただ、逃げていた。
万次郎が、圭くんが、千早くんが、こんなにも辛い思いをしている時に、私は何も知らずに生きていた。
私は、彼等を知る義務がある。
私もきっと、万次郎を変えてしまった人のうちの1人だから。
『千冬くん、ごめんね、、
圭くんだけじゃなくて、東卍のことも好きでいてくれた千冬くんにも嫌なこと思い出させちゃう。
でも、それでも、私に話してくれる?』
「っ、俺は別に良いんです。
これは、俺の役目だから。」
千冬くんはそう言うと、万次郎と東卍が変わっていった過程を話し始めた。