第1章 Blanc
『そう…
話しにくいこと聞いて、ごめんね。』
「いえ、、、
俺も、伊織さんに伝えないといけないことがいっぱいあります。」
『…圭くんから?』
「はい。
でも、それより先に今の皆さんの現状を話さないとですね。」
『お願い、』
「勿論です。」
そう言うと、千冬くんはさっきまでの表情とは違って、昔のような少し不良っぽい目をして話し始めた。
「今の東卍はもう昔の面影はひとつもありません。
…日本で1番の犯罪組織と言っても過言ではない。」
『…』
「総長はマイキーくんのままですが、現状東卍を動かしているのはNo.2の稀咲鉄太という男です。
…覚えていますか?ドラケンくんが亡くなった後に入ったメガネの…」
『稀咲鉄太、、、覚えない…。
正直あのあたりの記憶が曖昧で…』
「いえ、ある意味それは普通です。
アイツはあの頃、表立って大きな事を起こしていなかった。
…ただ、いち早く底知れない不気味さに気がついたのは場地さんでした。」
『…』
「場地さんは1人で稀咲の尻尾を追っていた。
…それが原因で、喧嘩の最中に刺されて、、、」
圭くんは偶に、予想もできない事を見事に的中させたりする。
頭が良いけんちゃんやたかちゃんとはまた違う角度から東卍を見守ってきた。
…野性の勘、とも言えるような、、、鋭い洞察力を持っていた。
「少し、話が逸れちゃいましたね。
現代では稀咲が事実権力を握っていて、マイキーくんは行方知れず。
パーちんくんは現在は幹部となっています。
三ツ谷くんはずっとマイキーくんと行動を共にしていましたが、マイキーくんの消息が途絶えたと同時に三ツ谷くんの動向も分からなくなりました。
未だに幹部として名を連ねては居ますが…」
『…そう、』
「…こんなこと言っても、どうにもならないかも知れないですけれど、、、御三方は今もちゃんと生きてます。」
『うん…ありがとう。』
服の下のお守りを服越しにぎゅっと握る。
…みんな、バラバラになっちゃったんだ、