第8章 Surprise
「よし、ある程度は作ってタッパー入れてるから。
伊織も料理するし、腐りやすいやつはわかるだろ?
悪くなりやすいやつか先に食べろよ」
『たかちゃん本当ありがとう。』
「良いって。あ、冷凍出来るやつは冷凍してっから。
それも食えよ。」
『本当たかちゃん大好き。もう嫁じゃん嫁。』
「お前マジそれマイキーの前で言うなよ。」
伊織からの大好きは言われ慣れた
俺に言ううちの一回でもマイキーに言ってやれば良いものを…
伊織がマイキーのことが好きで、マイキーだって伊織が好きなのはみんな知ってる
もちろん、本人たちも
『…万次郎がね、私のこと嫌いじゃないってのは分かってるんだ。
なんなら私のことちゃんと好きで居てくれてる。』
ほらな
好かれてんのわかってるのに進まねえってのも訳がわからん
「ならいいじゃねぇか」
『うん。万次郎だってわかってると思う。
私が万次郎のこと好きだって。
…でも、私が思う好きと万次郎の思う好きって、種類が違うの。
こう、上手く言えないけど、、、好きな先に見えてるものが私と万次郎とでは全然違う。』
「…」
伊織はマイキーへの好きの先に、マイキーと肩並べて一緒に立つ未来を見ている
でも、マイキーはそうじゃない
…それは確かに正解だ
ここまで来ると本当コイツらすげぇな
どれだけ一緒に居て、どれだけ理解し合えたらそこまで察せるんだよ
『だから、このままでいいの。
敢えて今のこの関係を崩さないってのもありでしょう?』
「まあな。」
『その代わり、万次郎が私のことを嫌いになったらすぐに離れるわ。
万次郎が私を必要としてくれる間は何があっても側にいるって決めたの。』
「そうか。
…確かに、ドラケンと伊織はマイキーにとって誰にも代え難い存在だからな。」
『たかちゃんもだよ。
たかちゃんも圭くんも、私たちにとって本当に大切な人。
だからいなくなっちゃダメだからね?』
「当たり前だ。」
俺はそう言うと伊織の分のカフェオレと自分の分のコーヒーを淹れて伊織の座るテーブルに着いた