第8章 Surprise
『よし!私退院!!』
「いいよな〜早くて」
『ししし!お先に〜けんちゃん!』
「見舞いの菓子美味いの待ってるぞ〜」
『万次郎の買うついでのたい焼きでいい?』
「ついでかよ」
そんな会話をしながら荷物を詰める
元々怪我で入院してた訳じゃないからすぐに退院できた
『本当松葉杖って不便だわ〜』
「ついてるとこ見ると楽しそうだけどな」
『これ変なとこの筋肉使うから疲れるのよ』
「ふうん。そんなもんか。
お前どうやって帰んの?」
『両手塞がるから万次郎に荷物持ってもらって、TAXIでも拾うつもり』
「へぇ」
退院したら色々やりたいことあったからな…
抗争の後処理とか、けんちゃんの監視があったからなんもできてないし
それとタケミっちにも話聞かないといけないし
「伊織〜ケンチン〜おはよー!」
「ああマイキー」
『万次郎!朝からありがとう!!』
「全然いいよ。退院おめでと」
『ありがとう』
「ん?荷物こんなけ?少な!」
『そんなに長く入院してた訳じゃないからね』
「そっか。
じゃあケンチン、一旦帰ってまた来るわ」
「おう。ありがとうな。」
「よし、じゃあ伊織これ持ってて」
『え?』
万次郎は私のついていた松葉杖を取り上げて私に持たせた
これ持つんじゃなくてつかないと歩けないんだけど…
「じっとしててよ?
…よっと!」
『うわっ!!え!?』
「じゃーね〜ケンチン」
「ああ」
『えっ!?ちょ、まっ!』
「じっとしててって言ったじゃん!」
『えぇ!?』
万次郎は私を横抱きにすると、あっという間に病室から出ていった
すれ違う人がみんな振り返るから恥ずかしくて仕方ない
それでも全く気にしない万次郎を止めるなんて土台無理な話で、私は顔を隠すように万次郎の胸に顔を埋めた