第8章 Surprise
「んぁーーよく寝た」
「お、来たかマイキー」
『気持ちよかった?お昼寝』
「うーんまあまあ。」
「んだよそれ」
万次郎は私の左側のベッドに腰掛け、ググッと背伸びをする
「そういやみんな集まってんの丁度いいな。
俺伊織に言いたいことあんだわ。」
『…なんかたかちゃんのその言い方怖い。
もしかして私怒られる系のやつ?』
「よくわかったな伊織。その通りだ」
『えー!怒られんのやだよ私。』
「嫌もなんもねぇよ。
この馬鹿!」
『!!』
急に大きな声を出されて肩が跳ねる
…たかちゃんにこんなに言われるなんて初めてで思わず口を閉じる
みんなも驚いているようで、誰も何も口を開かない
「バイク乗ってる時は絶対手ェ離すなって言ったろ!
落ちたらどうすんだ!!」
『!』
「…そのことか。
俺も退院したら言おうと思ってた。
…初めはともかく…3回もやったよな。」
『だって…』
「伊織、それはダメだな」
『圭くんまで…』
確かに、危ないのはわかってたけど…それ以上に時間が勿体なかった
「雨の中、バイクの後ろ乗って片手離して挙句電話して…
どれだけ危ないかわかってんのか!?」
『っ、』
「乗せてる時も言ったよな、
なのに言ったあとも掛かってきた電話取るわまた電話するわ…俺の言葉は響かないのか?」
『ちが、万次郎…』
そうじゃない
ただ私は、ただ、ただ早くけんちゃんを助けたかった
と、言葉が出ずに口を開けては閉じてを繰り返す私の隣から優しい声が聞こえた
「…俺のためにやったのはわかってるから俺はこのことあんま強くは言えねぇが、、、いくら人のためとは言え、片手で捕まるのは止めろ。
そっちの方が何倍も危ねぇ」
『けんちゃん…』
「俺はお前にそんなリスク背負わせてまで助けてほしくはない。
…下手したらお前の方が即死だぞ」
そう言われると、本当の事故を知っている身としては黙るしかない
…危ないのはわかってたからこそ、何も言えない