第8章 Surprise
「…ケンチン…?ケンチン!!」
「っあ?まい、きー?」
「ケンチン!!」
「うおっ!」
まだ目は慣れてねえ
相手の顔も見えてない
だが、俺をそのあだ名で呼ぶのはお前だけだ
こうやって俺に無遠慮に抱きついてくるのもお前だけだ
…俺、生きてんのか?
「ケンチン…よかった、、」
「…俺、生きてるか?」
「生きてる!本当心配させんなよ…」
「ふっ、そうか、、、生きてるか」
震える声でそう言うマイキー
…泣くなよ、総長だろ?
…でも、俺のためにお前が泣くなんて………嬉しいな
…そういえば最後、伊織が俺の傷を、、
「伊織は?」
「こっち」
マイキーが隣のベッドと仕切るカーテンを開けると、そこでスヤスヤと眠る伊織の姿が
「っ!どうしたんだコイツ…!」
「ケンチンあんま動くなよ。
伊織は脚骨折してるだけだから、怪我自体は大丈夫。
もう手当も済んでる。
ただ、、、昨日だけじゃない。ここ最近あんまり休めてなかったみたいで、疲労が溜まってるんだって、それと骨折からの熱。」
「そうか…」
「…本当、苦労かけちまった。」
マイキーはそう言いながら愛おしそうに伊織の頭を撫で、顔にかかった髪を払う
そこでひとつひらめいた
「…なぁマイキー、エマから聞いた話なんだけどよ。」
「うん?」
「俺ら今回、伊織に随分世話んなったろ?」
「うん。」
「だから…」
俺はさっき思いついたばかりの作戦をマイキーに話した
するとマイキーはニヤリと笑った
「いいねケンチン
それサイコー。
家帰ったらエマに話しとくわ。」
「ああ、頼む。」
ずっと本人は口に出さなかったが、マイキーだって伊織のそんな姿見たいはずだ
マイキーだって伊織とのそういう機会、欲しかったはずだ
祭りの時は俺が色々気使わせちまったからな
今度は俺が誰よりも大切なお前らにそんな時間をプレゼントしてやるよ