第8章 Surprise
「なぁ、起きてるか?」
『起きてるよ。
やっぱり昼間寝てたからなぁ…眠れないや』
「ふっ、そうか。」
病院の消灯時間は早い
昼間寝ていなくても、普段ならこの時間、私もけんちゃんもバイクに乗って好きに遊んでる時間だ
眠くなるはずがない
「…マイキーの前じゃ言わなかったけどよ、お前あの時なんで俺の処置なんかできたんだ?
や、勉強して頭いいのは知ってたが、、、どう考えたって中学生がんなことできねぇだろ。」
『え?何言ってるの?』
「は?だから、俺の腹、やったのお前だろ?」
『違うけど…』
「あ?」
『あの時、本物の医者が通りかかったんだよ?覚えてない?』
「…?」
『けんちゃんが先生の声には反応しなくて、私の声だけしか聞こえてなさそうだったから私が話しただけだよ?
やったのは全部お医者さん。』
「??じゃあ俺はなんでお前の脚を…」
『それは私が掴ませたから。
お医者さんから説明があった時、そんなのけんちゃんだけに痛い思いさせられないって思って…
私もあの時はパニックだったから、もしかしたら私がやるみたいな言い方したかも知れない。
だから、あの時助けてくれたのはちゃんとお医者さんだよ?』
「?そう、なのか??」
『うん。救急車乗るまではいてくれたから。
…きっとけんちゃんも混乱してたのね。』
「?そうか。」
…誤魔化せたかな
流石に中学生が処置しましたなんて無茶振りにも程がある
私たちの間だけの話ならともかく、大人まで入ってきたら面倒だ
心臓マッサージくらいなら中学生でも言い訳がつくだろう
『あ、それよりけんちゃん?
私忘れてないからね?』
「あ?なんのことだ」
『エマに浴衣、似合ってるって言わなかったんでしょ』
「…」
『それと、またエマ泣かせたら許さないとも言ったわよね?』
「…それは、、いや、俺が悪いな…」
『うん。けんちゃんが悪い!』
「エマ、どうやったら笑ってくれるかな」
『けんちゃんが元気になって、いつもみたいに万次郎迎えに行ったらきっと笑ってくれる』
「ふっ…なら早く退院しねぇとな」
『そうね。
…なんか眠くなってきた、、、』
「よく寝るなぁおい。
…おやすみ、伊織」
『おやすみ〜』