第7章 Incident
あれから何時間経っただろう
雨足は強くなるばかりで俺たちの不安をどんどん煽っていく
カチコチと時計の針の音が響き、歩き回ってみたり、ひたすら祈ってみたりと、終わりの見えない不安とみんなそれぞれ戦っていた
そんな中、微動だにせずただ伊織さんを抱いたまま動かないのはマイキーくん
隣に寝かせたらどうかとエマちゃんが言っても、一言で断り、ずっと膝の上に抱いていた
パッ
手術中の赤いランプが消えた
その場の全員が立ち上がり、扉の方を向く
ドッドッドッドッ
ああ、心臓がうるさい
中から医者が出てくる
「一命は取り留めました」
「へ?」
「手術は、成功です」
「よーっしゃああああああ!!!」
助かった!
ドラケンくんが助かったんだ!!!
ミッション、成功だ!!!
周りのみんなもよかったと、嬉し涙を滲ませながら口々に言う
本当に良かった
「現場での処置が適切でした。
あれが無ければ…どうなっていたかわかりません。」
「現場での処置…?」
「あ、ああ!なんか伊織さんが通りすがりの医者がやってくれたって言ってました」
「へぇ
そこまでやったならここまで着いてきてくれれば良かったのにな」
「はは、そうッスね、、、
まあ俺ら不良だし、関わりたくなかったんじゃないスか?」
「…薄情なんだかいい奴なんだか、、、」
流石に伊織さんがやりましたとは言えねー!
そもそも医療器具持ってたことに驚きだけど、、、
「あれ?そういや伊織さんとマイキーくんは…」
周りを見回すけど2人の姿は見えない
…?
どこ行ったんだ?