第7章 Incident
『…』
「ッハ!ハッ、ハッ」
もう一本鉗子を取って、再び傷口から入れる
次のはもう少しだけ奥…
グチ…グチグチ
「ゔっ!あ"ああああああ!!!」
『っ!!』
ミシッミシミシミシッッ!!!
痛く…ない
けんちゃんの方が、もっと痛い…
でも手を止めるわけにはいかない
一気に早く、早くやってあげた方がいい
躊躇うな
ググッ!カチカチカチ!
「あ"ああぁっ!!!!」
『っ!』
グキッ!ベキベキッ!!!
『…つっ!、、けんちゃん?』
「ハァ…ハァ…ハァ…」
『…飛んじゃった、か。』
完全に白目を剥いて意識が飛んでる
…でもあと1箇所なんだ
ごめん、本当に、ごめん、、、
『ふぅ』
グッ
「があっ!!」
『っ!!ダメ!!』
無意識なんだろう
私の手を退かそうと動くけんちゃん
動いたら変な血管傷つけちゃう…!
「うぐっ」
『けんちゃん!!』
右手だけで血管を探り、左手と両足でなんとかけんちゃんを抑える
っ!
それに…ダメだ
歯を食いしばりすぎてる
舌まで噛み切りそうな勢いに、慌ててガーゼを口に噛ませる
『ごめん、あと一本だから!!』
「んぐっ!!」
グチ…グイッ!
カチカチカチ
「んん!!!」
『〜っ!!はっ!
ハァ、ハァ、ハァ、、、終わったよ、けんちゃん
よくがんばったね。よく耐えたね。』
もう完全に意識なんか無いけど、なんとか止血できたことに安堵する
と、向こうからタケミっちたちが走ってきたのが見えた