第1章 Blanc

「I want you to be my girlfriend.」

『…Sorry. I can't get him out of my head.』

「I see.
… I'm sorry to bother you.」

『No.
May you have a wonderful encounter.』

「Thank you…」










『はぁ…』










何度目かの同僚からの告白。

こんな私を好きだと言ってくれる、本来ならありがたい申し出ではあるが、いつものようにお断りする。

さっきの方はふたつ年上の脳外科医。
きっともっといい人が見つかるはずだ。

…こんな私が、誰かと一緒になることはないだろう。

私にそんな資格はない。











それに、




私はもう、彼以上に他の人を愛せる気がしない、











10年経った今でも、私の中から消えないたった1人の人

…忘れられない人

忘れては行けない人









『…』












…この10年間で欲しかったスキルは身についた

脳から循環器、整形まで、外科系は幅広く経験し、それぞれの専門も理解出来るようになった


救命医としての腕も磨き、周りからはそれなりに信頼を勝ち取って、地位も確立してきた











でも、

このスキルが、私はいつも嫌いだった、





私がこの力を得たのは、彼らから逃げたのが始まりだから。









みんなを犠牲にして得た力、みんなの為に身につけたかった力、











私はこの力が、大嫌いだった。























…もうすぐ、やっと日本に帰れる。

誰にも連絡が取れなくなって、みんなどこにいるかもわからない。




ただ、あの時勝手に逃げたことを謝りたい。

私が勝手に貴方と私の夢を叶えるために帰るだけだから。

覚えていなくてもいい。

約束にはもう意味はきっと残ってないけれど、






でも、どうしても貴方に会いたい。











だから、どうか元気でいて。