第7章 Incident
…まずい
せっかく一本手に入った麻酔だったのに、、、
どうする…
『…』
「伊織さん…?」
「ハァ、ハァ、」
けんちゃんは血を流しすぎてる
本気で止めないとそろそろまずい
麻酔の代わり…氷とか、、、そんなものあるわけない
でもそれを取りに行って帰ってきてやってても間に合わない…
『…タケミっち、表通り見てきて。
そろそろ救急車来ててもおかしくないから。
そしたらストレッチャー引いてここまで連れてきて』
「え、でも手伝いは…」
『行って』
「は!はい!」
タケミっちを現場から遠ざける
…もう、やるしかない
『…けんちゃん、聞いて』
「ハァ、ハァ、、なんだ、ハァ、」
『今、けんちゃんを助ける方法はひとつだけある。
今から私が言うことにあなたが何と言っても、私は迷わずそれを行使する。』
「ハァ、ハァ、…?」
『…説明はする。
けど、けんちゃんの意見は聞かない。そう言ってるの。』
「ハァ、ふっ、、、無茶苦茶、だな」
本当にその通りだと思う
けんちゃんは苦しそうに、でも呆れたように笑う
私も釣られて少しだけ口角が上がる
『ええ、そうね。』
「本当、マイキーといい、お前といい、、、疲れるな…」
『でも、好きでしょ?』
「最高だ…っ!ゴホッゴホッ!!」
『…』
けんちゃんはそう言ってまた吐血する
けんちゃんの血が私の服を赤く染める
『…けんちゃん、今貴方は自分でも分かる通り、血を流しすぎてる。
早く止血して輸血しないといけない。』
「ハァ、ハァ」
『ただ、けんちゃんは体格に恵まれてるからすぐには死なない。
今ちゃんと止血すれば、病院まではなんとか持つ。
ちゃんと救急車呼ぶときに連絡してるから輸血の用意もしてあるはずだし、すぐに治療はできると思う。』
ただし、ちゃんと止血できれば、の話だ