第1章 Blanc
ぷるぷるぷる、ぷるぷるぷる、
…自分の心臓がびっくりするくらい大きく拍動しているのが分かる。
呼吸が浅い。
ぷるぷるぷー「っ!伊織さんですか!?」
『っ!は、はい、』
っ、まずい!!
反射的に返事をしてしまったけど、誰かも分からない相手に名前を言うなんて…
「…本当に、場地さんの言う通り、、、っ、、すみません、、、、」
『ぇ、や、あの、、、貴方は?』
「千冬です!松野千冬!覚えてませんか?」
『え!?千冬くん!?!?
あの、圭くんの後ろをついて回ってた??』
「はい!その千冬です。
あ、そうだ、今晩暇ですか?」
『空いてるけど、、、』
「それじゃあファミレスでも行きましょう。
そういうところの方がいいでしょう?」
『あ、どこでも、いい、けど…』
「なら6時ごろに待ち合わせましょう!」
『うん。』
「ではまた。」
ツー、ツー、ツー、ツー、、、
『…』
びっくりした。
まさか千冬くんに繋がるなんて…
声は少し低くなっていて初めはわからなかったけど、口調や声色はまるでそのままで、こっちに帰ってきてから何もかもが変わっていて不安になっていた私の心を溶かしてくれた。
千冬くん…
あの頃からとても仲がいいって訳ではなかったけれど、圭くんがよく私たちに自慢していたっけな。
「っは!』
嵐のような慌ただしさで、一瞬の会話だったけど、今日待ち合わせして会うんだ!!
私はハッと我に帰って、急いで千冬くんに会うための支度を始めた。