第7章 Incident
「…裏でネチネチしてるキモいやつがいるのはわかった。
俺も注意しとく。」
『うん。お願い。
それと…ペーくんのことなんだけど、多分もう私とけんちゃんの言葉は何も届かない。
だから…』
「うん。
ペーは俺が取り戻す。
ペーは東卍の大事なメンバーだからな。
それに、パーが出てきたとき、ペーがいなかったら悲しむだろ?」
万次郎はそう言って笑う
私も釣られて笑みを溢すと、万次郎は嬉しそうに笑った
『うん。そうだね。
…っ!わっ!!』
トサッ
『え!?万次郎!?』
「ブハッ!
今の顔!すげえウケた」
『な!、人の顔見て笑うなんて失礼!!』
急に肩を掴まれたかと思えば、万次郎も一緒に後ろに倒れ込んできて、私と万次郎は2人で河原の芝生の上に寝転がった
頭の後ろに手が添えてあるのに優しさを感じる
でも、それ以上に急なことについていけなくて、隣の万次郎の顔を見つめることしかできない
「伊織、あんま無理すんなよ」
『え?』
「こんな状況で何言ってんだって思うかもしれないけど、こんな状況だからこそ言ってんだ。
きっと、この山は今までの東卍の歴史の中で一番デケェ山だ。
誰も経験したことねえくらい。」
『…?』
「だから、みんな初めてだ。
みんな不安だし、みんな怖い。
伊織だってこんなに考えたのも、上手くいかなかったのも初めてだろ?
だからそんなに気張らなくていい。
少し肩の力抜いて、自分の思うように動いてみたらいい。
それでもし失敗してても大丈夫だ。あとは俺が何とかしてやるから!」
『万次郎…』
「ハハッ!
俺は無敵だからな!」
本当に、中学生だなんて信じられない
自分だって不安な癖に
今でもタオル無いと寝れない癖に
それなのに、こんなにも強い
長内の時にも言ってた
万次郎が後ろにいるから、私たちは安心して自分の戦いが出来る
万次郎がいる限り、東卍は負けないから