第7章 Incident
「眉間に皺!顔、怖いよ?」
『っ!!万次郎!』
「ハハッ!そんな驚く?」
急にビシッと眉間に指を当てられ、思わず後ろにのけぞる
びっくりした
本当に集中してたから全く気づかなかった
「今日エマ達の買い物着いてったんでしょ?
どうだった?」
『うん。
エマもヒナちゃんもすごく浴衣似合ってた。
きっとけんちゃん驚くよ。』
「へぇ、俺も見るの楽しみだ。
タケミっちはいつもデレデレしてるけど、ケンチンはなぁ〜」
『私たちの前では色々言う癖に、エマの前ではカッコつけるからね。』
「そうそう、
余裕のない男だと思われたくない、とか言ってたな。」
『真剣な顔してそんなこと言うから思わず笑っちゃったもん。』
「ケンチン怒ってたな〜」
いつかファミレスでそんな話をした
現代にいるときは覚えてすら無かったのに…不思議だなぁ
「伊織は?
浴衣とか買わなかったの?」
『うん。今年はお祭りどころじゃないからね。』
「…そっか。
まだペーやん達見つかんないんだ」
『残念ながら。
…あ、そうだ。万次郎の耳には入れといた方がいいね。』
「ん、どうした?」
けんちゃんにも言おうか迷ったけど、こんなこと言ったらエマとのデート中止にしかねない
それはあまりにエマが可哀想だし、けんちゃんだって偶にはエマと2人の時間は欲しいだろう
でも、総長の万次郎には伝えとくべきだ
『ここまでの一連の内部抗争。
裏に誰かいる。』
「…」
『まだ影すら拝めてないけど、絶対に誰かが糸を引いてる。
今現在、ペーくんを言葉巧みに操っているのもソイツだし、パーちゃんが捕まった日、、、
あの日にメビウスを呼び寄せたのも恐らくソイツ。
…全部が出来すぎてた。』
「…そっか。」
万次郎はそう言うと、私の隣に腰を下ろして遠くを見つめる
何を考えているのか読めない瞳だけど、でも、綺麗な眼