第1章 Blanc
『は?』
【東京卍會、薬物密輸に関与か!】
【一般市民への影響も!東京卍會暴走止まらず】
【東京卍會、総組員数は未知数 その力は最早日本全土に及ぶとの見解も】
『…なにこれ、、、』
東京卍會って、、、
あの東卍?
だって、だって、あれは、、、
所詮中高生の集まりでしょう?
こんな、犯罪なんて…
違う、きっと違う。
同じ名前の違う人たちだ。
それか、誰かが真似して名前だけ持っていったんだ。
私たちの東卍じゃない。
ぜったい、
【東京卍會総長の氏名が明らかに!警察は指名手配を開始することを発表】
『っ、嘘…』
【東京卍會総長、佐野万次郎】
『…万次郎?』
どうして…?
そんな、だって、、だって、万次郎、言ってたじゃない。
不良の時代を作るって、
こんなの、不良じゃないよ。
でも、そこに写る写真はどう見ても万次郎で、首筋のタトゥーはけんちゃんのもの。
金髪だった髪は黒く染め直していて、それは圭くんに寄せたように感じられなくもない。
万次郎、どうして…
いや、きっとけんちゃんが居なくなって、圭くんも居なくなって、壊れてしまったんだ。
嗚呼、どうして私はあの時貴方の元を離れてしまったんだろう。
けんちゃんが居なくなってから、今にも壊れそうだったことに気がついていたのに。
あんな風に屈託なく笑う貴方はもう居ないんだ。
大好きだった万次郎。
私が唯一好きになった人。
こんなに遠くに行ってしまったなんて、
…違うな。
先に遠くに行ったのは私、か、