第6章 Infighting
『…で?どこが乱闘だって???』
「…スミマセン」
『私バイクじゃないから死ぬほど走ってきたんだけど?』
「…ゴメンなさい」
『連絡し直すとかない訳?』
「…大変申し訳ございません」
これ以上無いくらい猛ダッシュしてタケミっちの家まで行っていた途中の公園で万次郎の声が聞こえた気がして足を止めた
するとなんと、喧嘩して顔も合わせて無いはずの2人が仲良くサッカーしてました
タケミっちのお友達も含めて
…乱闘ってなんのことだったのかしら???
『はあぁぁぁぁぁあ』
力が一気に抜けてその場にしゃがみ込む
すると目の前で謝り続けていたタケミっちとそのお友達の千堂くんが慌てたようにウロウロしてるのが目に入る
「あ、あの〜、伊織、さん?」
『…』
「大丈夫、ですか?」
『…った』
「え?」
「あ!あれ伊織!?」
「!本当じゃねえか」
バタバタと大好きな2人の足音が聞こえる
嗚呼、本当に2人が並んでる
2人が喋ってる
『よかった…本当に、、、』
「伊織?大丈夫か?」
「タケミっち何したの」
「いやオレらなんもしてねえッスよ!」
「あ?ってうおっ!」
「わっ!」
私に姿勢を合わせようと腰をかがめた2人の首に思いっきり飛びついた
そして力一杯引き寄せる
「いでででで!伊織痛い!!」
「首絞まる絞まる!!」
『うるさい!!』
2人の言葉なんかお構いなしにさらに力を強める
こんなもんじゃ足らない
もっと、もっと2人を近くに感じたい
『……本当に、よかった………もう…ダメかと思った…』
「…伊織、、、」
「…」
『…2度とこんなことしないで……
こうなる前に私に相談して……』
「…うん、ごめんね…伊織」
「俺たちが悪かった」
「「ありがとう」」
2人の肩にジワジワとシミが広がる
2人は安心させるように私の背中に手をそっと置いていた